今回は、総合型選抜・学校推薦型選抜に利用することができ日本学生科学賞を紹介します。
総合型選抜・学校推薦型選抜という言葉を聞きなれない方もいらっしゃるかと思います。総合型選抜・学校推薦型選抜は、2021年度の入試より導入される制度で、2020年度までのAO入試と推薦入試のことです。旧名称と新名称は以下のように対応しています。
「AO入試」→「総合型選抜」
「推薦入試」→「学校推薦型選抜」
名称変更に伴い、募集要項も変更される可能性がありますので、総合型選抜・学校推薦型選抜での受験を希望されている場合には、各大学のウェブサイトを確認してみてください。
想定している読者は、
- 2021年度から入試制度が変わることに不安を感じており、一般入試以外の入試形態での受験を検討している高校生及びその保護者の方
- 一般入試の形態が自分には合わないと感じている高校生
- 自然科学系の研究に強い関心をもっていて、自分が興味のあるテーマの研究をしたいと思っている高校生
です。
総合型選抜や学校推薦型選抜に利用することができる、日本学生科学賞以外の課外活動に興味がある場合には、以下の記事をご覧ください。
一般入試よりも総合型選抜・学校推薦型選抜を利用した方が良い高校生の特徴
世間には、総合型選抜や学校推薦型選抜に対して次のような考え方が存在します。
総合型選抜や学校推薦型選抜は一般入試に合格できる実力がない生徒が受験する試験だ。
総合型選抜や学校推薦型選抜を使う生徒は、一般入試で失敗するのが恐くなって逃げているだけだ。
自分の周囲にこのような考えを持っている先輩・友達が多くて、総合型選抜や学校推薦型選抜を受験することをためらっている高校生はいないでしょうか。
そのような高校生へ私から伝えたいことは「総合型選抜や学校推薦型選抜を受験することをためらわないでください」ということです。なぜなら、総合型選抜・学校推薦型選抜と一般入試とでは試されている能力がそもそも異なり、双方の入試形態で合格した生徒の能力を単純に比較することはできないからです。そして、一般入試における試験形式だけが高校生の能力を測定する唯一の試験ではないからです。
もちろん、一般入試で高得点をとって大学に合格できる高校生を否定する訳ではありません。東京大学や京都大学のような難関大学に一般入試を経て合格することがどれほど大変かは理解しているつもりです。しかしながら、一般入試は、小論文を除き、端的にいってしまえば「出題範囲が決まっている明確な答えがある問題を、限られた時間内にいかに速く確実に解く能力があるか。」を試す試験です。そうなると、出題範囲を可能な限り早く学習し終わり問題演習を何度も繰り返した生徒の方が有利になります。具体的には、中高一貫校で先取りカリキュラムで学習してきた生徒の方が一般入試の合格確率が高まるはずです。この点については、以下の記事に詳細を書きましたのでもしよろしければご覧ください。
また、一般入試の合否に、学校における成績、部活動の実績そして課外活動の実績はほとんど影響を与えません。
まとめると一般入試には以下の2つの特徴があるといえるでしょう。
- 出題範囲が決まっているため先取り学習をしている高校生の方が有利である。
- 高校3年間の努力、特に入試科目の勉強とは関係のないことに対する努力が、入試の結果に影響を与えにくい。
このような特徴をもつ一般入試は、自分には向いていないと思う高校生もいると思います。例えば、中高一貫校に在籍していないため先取り学習ができていない高校生や勉強以外の活動に力をいれている高校生は、一般入試以外の入試形態を選択したいと思うかもしれません。そのような高校生が、自分の特性を活かすことができる入試が総合型選抜や学校推薦型選抜です。総合型選抜や学校推薦型選抜では、高校3年間の活動の積み重ねを評価してもらえる可能性があります。
数学や物理の問題集を短時間で効率的に解くことはあまり得意ではないけど、科学分野の探求、例えば自分が分からない課題を実験を通して解決していくこと、は大好きだという高校生はいると思います。このような高校生にぜひともおすすめしたいのが日本学生科学賞への応募です。
日本学生科学賞の概要
日本学生科学賞は、1957年に設立された賞で、歴史と伝統があります。
募集分野は以下の6分野です。
- 物理
- 化学
- 生物
- 地学
- 広領域
- 情報・技術
作品の受付期間は、
2019年9月3日(火)~ 10月27日(日)必着 (2019度はもう応募ができないので、来年度に向けて準備をしてください!)
です。
2020年度に実施される第64回日本学生科学賞の応募要項は2020年6月中旬に発表されるそうです。応募を予定している高校生は、以下のウェブサイトを定期的に確認してみてください。
日本学生科学賞の入賞を活用することができる国立大学
令和2年度(2020年度)の入学試験で日本学生科学賞の入賞を活用することができる大学・学部は以下のとおりです。
千葉大学
工学部 総合工学科
- AO入試(理数大好き学生選抜―方式Ⅰ)における出願資格のうちの1つ。入賞者のみ出願可能。また、AO入試(理数大好き学生選抜―方式Ⅱ)における出願資格のうちの1つでもある。入賞者のみ出願可能。
- 募集人数は、方式Ⅰ と方式Ⅱとの合計で10 名。
- 詳細は「令和 2 年度入学者選抜要項」の37・38ページをご覧ください。
東京大学
理学部
- 推薦入試における推薦要件。入賞した者のみ要件として認められる。
- 募集人員は10人程度
- 詳細は「令和2年度東京大学推薦入試学生募集要項」の29ページをご覧ください。
大阪大学
人間科学部 人間科学科
- AO入試における出願要件のうちの1つ。入選した者及び最終審査会進出者(予定の者を含む)のみ出願可能。
- 募集人員は15名
- 詳細は「令和 2 年度大阪大学AO・推薦入試学生募集要項」の6ページをご覧ください。
経済学部 経済・経営学科
- AO入試における出願要件のうちの1つ。入選した者及び最終審査会進出者(予定の者を含む)のみ出願可能。
- 募集人員は22名
- 詳細は「令和 2 年度大阪大学AO・推薦入試学生募集要項」の12ページをご覧ください。
理学部 化学科・生物科学科
- AO入試(研究奨励型) における出願要件のうちの1つ。平成 29 年度から令和元年度の間に、入選した者及び最終審査会進出者となった者(予定の者を含む) のみ出願可能。
- 募集人員は22名
- 詳細は「令和 2 年度大阪大学AO・推薦入試学生募集要項」の14ページをご覧ください。
医学部 保健学科
- 推薦入試における出願要件のうちの1つ。入選した者及び最終審査会進出者(予定の者を含む)のみ出願可能。
- 募集人員は16名
- 詳細は「令和 2 年度大阪大学AO・推薦入試学生募集要項」の20ページをご覧ください。
日本学生科学賞の入賞を活用することができる私立大学
慶應義塾大学
総合政策学部
- AO入試C方式における出願要件のうちの1つ。物理,化学,生物,地学,広領域に関しては地方審査通過者が、情報技術に関しては中央予備審査通過者が出願可能。
- 募集人数は、4月入学Ⅰ期・Ⅱ期、9月入学、グローバル/ Admissions for Overseas Students(GIGA Program)をあわせて100名。
- 詳細は「アドミッションズ・オフィスによる自由応募入試(AO入試)」の28ページをご覧ください。
環境情報学部
- AO入試C方式における出願要件のうちの1つ。物理,化学,生物,地学,広領域に関しては地方審査通過者が、情報技術に関しては中央予備審査通過者が出願可能。
- 募集人数は、4月入学Ⅰ期・Ⅱ期、9月入学、グローバル/ Admissions for Overseas Students(GIGA Program)をあわせて100名。
- 詳細は「アドミッションズ・オフィスによる自由応募入試(AO入試)」の28ページをご覧ください。
理工学部
- AO入試における出願要件のうちの1つ。入賞者が出願可能。
- 募集人数は、理工学部全体で若干名。
- 詳細は「2020年度慶應義塾大学理工学部 AO 入試募集要項」の4ページをご覧ください。
早稲田大学
先進理工学部
- 特別選抜入学試験における出願要件のうちの1つ。「日本学生科学賞」高校の部において、内閣総理大臣賞・ 文部科学大臣賞・環境大臣賞・科学技術政策担当大臣賞・全日本科学教育振興委員会賞・読売新聞社賞・科学技術振興機構賞・日本科学未来館賞・読売理工学院賞・旭化成賞のいずれかを受賞した者(個人受賞に限る)が出願可能。
- 物理学科と応用物理学科は特別選抜入学試験での募集をしていません。
- 募集人数は若干名です。
- 詳細は「2020年度先進理工学部「特別選抜入学試験」試験概要」をご覧ください。
日本学生科学賞を活用できない大学
令和2年度(2020年度)の入学試験で日本学生科学賞の結果を活用できない大学は以下の通りです。
- 北海道大学
- 東北大学
- 東京工業大学
- 名古屋大学
- 京都大学
上述した大学以外の大学については2019年12月1日現在調査中です。調査が完了次第、随時掲載をしていきます。
志望校を決めることができずに悩んでいる高校生へ
将来やりたいことを見つけるための方法を知りたい
やりたいことを見つけると言われたも、実際に働いたことがないので見つけられないというのが実情だと思います。そのような状況下でも、仕事を疑似体験できる方法を考えてみました。
大学に関する情報蒐集について知りたい
自分に合った大学そして自分に合った入試方法を選択するためには、早めの情報収集が不可欠です。中高一貫校の生徒ならば中学3年生になったぐらいから、高校受験をした生徒ならば高校1年のときから大学の情報を入手していく必要があります。まだ志望校が決まっていない方は、高校生のための進学情報【マイナビ進学】が役に立つかもしれません。また、大学の入試制度は年ごとに変更される可能性があります。一年前の情報が今年も役に立つとは限りません。なので、随時情報を収集されると良いと思います。知らないことは選択できません。この記事を読んでくださった皆さんが自分に合った大学そして自分に合った入試制度を見つけられることを願っています。
おすすめの志望校を知りたい
色々調べたけれども、やりたいことも決められず、志望校も決められない場合におすすめの志望校は以下の5校です。
最後に
個人が調査をしておりますので、データの正確性に対する責任は負いかねます。 このデータに基づき進学先を決定される前に、ご自身で大学のウェブサイトをご確認いただきますようお願い申し上げます。また、不明な点につきましては大学に直接ご確認いただきますようお願い申し上げます。