日本の素晴らしい教員を世界へ、現場の先生たちによる新たな挑戦――バーキー財団 グローバルティーチャー賞報告会レポート
日本での知名度は低いが、世界的には非常に権威のある教育賞として知られる「グローバルティーチャー賞(Global Teacher Prize)」。「教育界のノーベル賞」とも称される同賞は、一体どのようなものなのか。2019年6月2日、日本マイ...
教員が“Change Maker”のマインドを持っている必要性については全面的に賛成です。一方で、「再現可能な教育を実践する」ことではなく、「その先生にしかできないことをする」ことも教育者として大切な要素だと思います。同じ内容の授業をしても、A先生の授業なら真面目に聞くけど、B先生の授業なら真面目に聞かないということも起こりうると思うからです。
良い先生の定義を一義に決めることはできないという前提のもとで、私は良い先生とは「その先生とともに時間を過ごした生徒の日々の生活に前向きに取り組む意識を高められる」先生ではないかなと考えています。前向きに取り組むとは、学業、部活、そして課外活動などに対して真摯に取り組めることだと思います。
たしかに、このような賞を設定して、新しい教育への取り組みを社会へ還元していくことそのものは素晴らしいことだと思います。しかし、このような賞を設定すると、それを受賞した先生にばかり注目が集まりがちな気がします。そうすると、良い教育の在り方に対する評価の基準が偏るという恐れもあります。すなわち、こういう賞を受賞した先生がすばらしく、そうでない先生はこれらの先生のように努力をしたほうが良いという考え方が生まれる可能性があるということです。こういう賞に応募しない先生のなかに、このような賞を受賞した先生以上に生徒に多大な好影響を及ぼしている先生が数多くいらっしゃる可能性があることを忘れてはならないと思っています。