宿題は本当に必要なのか?宿題のメリットとデメリットを考察してみた!

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こんにちは、EduCon(@Edu_Con_2019)です。

子供のころに宿題という存在に対して疑問をいだいたことはないでしょうか?私はありました。なぜなら、宿題をやることによって学力が向上しているように思えない場面があったからです。もちろん、すべての宿題に対してその必要性を感じなかったわけではありません。しかし、時間を費やしたくない宿題があったのもまた事実です。

それから時が経過し、教員や塾の講師として教育に携わるようになりました。自分が宿題を出すことができる立場になり改めて宿題の必要性について考えるようになりました。

今回はまず宿題のメリット・デメリットについて考えます。そして、その必要性があるのならば、どのような宿題の出し方がよいのかについて考えていきたいと思います。

今回の記事の読者として想定しているのは、

  • 自分が生徒に課している宿題が本当に生徒の学力向上に寄与しているのかと感じている先生
  • 自分の子供が取り組んでいる宿題が、その子の学力向上に役立っているのかと感じている保護者の方
  • 学校や塾からの宿題を真面目にやっているのに成績が上がらないと感じている中学生・高校生

です。

個別の話題に入る前に、まず「宿題」を定義させてください。この記事では、

宿題を「教師が生徒に対して授業外の時間でやってくるべきものとして課す学習上の義務としての課題」と定義します。

なお、私自身の職務経験を記事の内容に活かすために、以下の3つの点を前提として書いている点にご配慮いただければと思います。

  • 生徒の多くが大学進学を目指している中高一貫校もしくは高等学校における宿題を想定しています。
  • 宿題を実施することによって平常点が加算され、その加算された平常点は通知表の評価に影響を与えるものとします。
  • 私自身が主に英語を教えていることから、英語の授業で課される宿題を念頭においています。

こちらの記事にアクセスして下さった方の中には教職課程を履修されている大学生の方がいらっしゃるかもしれません。SNSやマスコミの報道等で、教員の労働環境について多くの情報が得られるようになり、教員になるかどうかを悩んでいる大学生の方が多いのではないでしょうか。私は民間企業を経てから教員になりました。悩んでいる大学生の方の意思決定の参考になればと思い、そのメリットについて「教員志望の大学生に民間企業の就活を強く薦める理由と実際にやるべきこと」に書いています。

それでは、本題に進みます!

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  1. 宿題のメリット
    1. 生徒にとってのメリット
      1. 生徒にとってのメリット①:言われたとおりの宿題に取り組むだけで学校の成績が向上する
      2. 生徒にとってのメリット②:学習すべきことを自分で決めなくてもよい
    2. 保護者にとってのメリット
      1. 保護者にとってのメリット①:子供が何を学習すれば良いかを把握できる
    3. 教師にとってのメリット
      1. 教師にとってのメリット①:生徒に授業時間外での学習を促すことができる
      2. 教師にとってのメリット②:授業で必要な内容を扱いきれなかった場合の対応策になる
  2. 宿題のデメリット
    1. 生徒にとってのデメリット
      1. 生徒にとってのデメリット①:平常点のために自分の学力に合わない問題に取り組まなければならない
      2. 生徒にとってのデメリット②:自分がやりたい勉強の時間を奪われる
    2. 保護者にとってのデメリット
      1. 保護者にとってのデメリット①:「宿題をやりなさい。」と言う言葉をついつい発してしまう
    3. 教師にとってのデメリット
      1. 教師にとってのデメリット①:宿題の確認に時間を要する
      2. 教師にとってのデメリット②:宿題を課したからといって生徒の学力が向上するとは限らない
  3. 宿題の出し方に対する提案
    1. 提案①:定期考査の点数に応じて宿題を実施したものとみなす
    2. 提案②:宿題に対する代替案を認める
    3. 提案③:宿題の提出期限について教師と交渉をする機会を与える
  4. まとめ

宿題のメリット

生徒にとってのメリット

生徒にとってのメリット①:言われたとおりの宿題に取り組むだけで学校の成績が向上する

指定校推薦、公募推薦、内部推薦における推薦者の決定やAO入試等の合否判断材料に、学校の成績が使われます。このような制度を利用して大学への進学を考えている生徒にとっては、学校の通知表の成績は非常に重要です。定期考査では、学習時間をかけてたとしても高得点がとれるとは限りません。一方で、宿題を教師の指示通りに実施しさえすれば、確実に平常点を取ることができます。この点は、定期考査で実力を発揮するのが得意でない生徒にとってはメリットになります。

生徒にとってのメリット②:学習すべきことを自分で決めなくてもよい

英語の力を伸ばしたいのですが何を勉強したらよいのかわかりません。

 

このようなタイプの生徒にとって宿題はメリットがあります。なぜなら、宿題が何を学習すべきかを教えてくれているからです。学校が作成したカリキュラムが大学受験に適したものになっているという条件が満たされている必要はありますが、もしこの条件が満たされている学校に在籍している生徒ならば、宿題を確実に実施していくだけで大学受験に対応できるという安心感を得ることができます。

学校のカリキュラムは授業と宿題の両輪で成り立っています。中高一貫校なら6年間、高等学校なら3年間かけて大学受験の準備します。大学受験を経験したことのない中学生や高校生が、このような長期間のカリキュラムを自分で考えるのはなかなか難しいことです。学校の授業を聞いているだけで大学受験に必要な学力を身につけられる生徒は少数です。そのため、カリキュラムに基づく宿題が生徒に安心感を与えることでしょう。

勉強が得意な方は自分で学習計画を立案し実行した方が効率的に受験に挑めると思うかもしれません。しかしながら、自分で学習計画を立案することを苦手とする生徒は相当数います。どちらかと言えば、自分で学習計画を立案できない生徒の方が比率としては多いかもしれません。そのような生徒は、先生から「自分で考えて家で勉強して良いですよ。」と言われると、何もしないという選択を取ります。自宅でスマホかパソコンの前で、SNSをしたりYouTubeを見たりで1日があっという間に終わります。そのような生徒にとっては宿題がありがたいのです。

保護者にとってのメリット

保護者にとってのメリット①:子供が何を学習すれば良いかを把握できる

保護者自身が中学生や高校生の時に勉強を頑張っていなかった場合、子供に何を勉強させて良いか分からず不安になることもあると思います。その際に学校から「宿題を言われた通りに実施していけば◯◯高校には合格できます。」もしくは「宿題を言われた通りに実施していけば◯◯大学には合格できます。」と言ってもらえれば安心することができます。

教師にとってのメリット

教師にとってのメリット①:生徒に授業時間外での学習を促すことができる

宿題の実施の有無は学校の成績に影響をもたらします。そのため、学校の成績を気にする生徒は、宿題に取り組むしかありません。そのため、少なくとも授業時間外での生徒の学習時間を増加させる点において宿題は効果があります。ただ、生徒が常に宿題に対して真面目に取り組むとは限らないので、学習時間は増加しているかもしれませんが、学力が増進されているかどうかは検証する必要性があるでしょう。

生徒にとって適切な宿題が課されているのならば、生徒の学力は向上します。学校における教師の重要な役割の1つは生徒の学力を向上させることですので、その目的を達成する上で宿題は教師にとってメリットがあります。

教師にとってのメリット②:授業で必要な内容を扱いきれなかった場合の対応策になる

授業時間内で教えるべき事項を全て教え、その内容を生徒に定着させられることが理想です。しかしながら、教科書が生徒にとって難しすぎる、授業の妨害をする生徒がいる、学校行事・台風・雪等のどうしようもない事情により授業時間が減ってしまったなどの理由により、授業時間内で当初予定していた内容を扱いきれないこともあります。その際に、宿題という強制力のある方法を使うことによって、生徒にその扱い切れなかった内容を学んできてもらうことができます。

しかしながら、これは教師としては望ましくない状況です。このように宿題を使うことがないように、努力をする必要はあると思っています。

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宿題のデメリット

生徒にとってのデメリット

生徒にとってのデメリット①:平常点のために自分の学力に合わない問題に取り組まなければならない

平常点を必要とする生徒にとっては、宿題に取り組まざるをえません。しかしながら、その宿題が自分の学力に合致しているレベルの宿題とは限りません。そのため、簡単すぎる問題に、もしくは、難しすぎる問題に時間を割かなければならないという状況が生じます。

かつて私はこの点について同僚と議論をした際に次のように言われました。

生徒にとって簡単な問題でも生徒はそれに取り組む必要がある。なぜなら、簡単な問題を解くことによってでも、新しい気づきを得られる可能性があるからだ。

 

私はこの考えには反対でした。なぜなら、日本の大学受験で結果をだすためには、定められた範囲の内容を速く深く学ぶ必要性あるからです。それは、難関の中高一貫校のカリキュラムからも証明されているかとは思います。その点についての詳細は、以下の記事をご覧ください。

小学生に中学受験の勉強を勧める3つの理由

新しい気づきを得られる可能性があるとはいえ、既に解ける問題に再度取り組んでいる時間はないのです。もし、容易に解くことができる問題に再度取り組むのならば、大学受験に必要な範囲を学び終えた後だと思います。

このように、宿題が生徒にとって簡単すぎる場合は、宿題は生徒にとってデメリットになると思います。

生徒にとってのデメリット②:自分がやりたい勉強の時間を奪われる

宿題を課されることによって、生徒自身がやりたいと思っている内容を勉強する時間を奪われてしまうパターンは大きく2つに分けられます。

1点目は、特定の教科の宿題が多すぎる場合です。

学校から課された英語の宿題をやるだけで1日2時間かかってしまい、自分が把握している弱点の克服のために時間を使えなくて困っています。

 

この英語の教師は生徒のことを思い1日2時間かかるような宿題を出しているのかもしれません。要領の良い生徒は、自分にとって必要じゃない箇所は答えを写し、必要なところだけ丁寧に取り組むことができます。しかし、生真面目な生徒は、宿題全部に対して丁寧に取り組みます。その結果、この英語の宿題だけで1日の学習が終わってしまうという事態がおきてしまいます。

2点目は、それぞれの教科としての宿題の量は決して多くはないのだけど、全ての教科から課されている宿題を合算するとそれを終わらせるために膨大な時間がかかってしまうというパターンです。

英語の宿題に1日1時間、数学の宿題に1日1時間、古文の宿題に1日30分、物理の宿題に1日30分、それぞれかかります。そのため、宿題以外のことをやる時間がないのです。模試の復習とかしたいのに、時間を作れません。

それぞれの教科の宿題がその生徒に対して適切なレベルで、それらの宿題をやっていれば学力が向上するならば、特に問題はないかと思います。しかしながら、各生徒によって学力や弱点は異なるので、そのような状況はまれです。そのため、各教科の宿題に追われ、生徒が本当に取り組むべき課題に取り組むことができないという状況が生じてしまう可能性があります。

保護者にとってのデメリット

保護者にとってのデメリット①:「宿題をやりなさい。」と言う言葉をついつい発してしまう

「宿題をやりなさい。」と言うためには、当たり前ですが学校から宿題が出されていなければなりません。

ここで、「宿題をやりなさい。」と言えることが、なぜメリットではなくデメリットなのかと思われた方もいらっしゃるかと思います。最近の研究では、「勉強をしなさい。」とただ言うだけでは子供のやる気を高めることはできないことが示されています。「宿題をしなさい。」はやるべきことが限定されていると言う点では「勉強をしなさい。」とは異なりますが、保護者が子供に対して勉強を強要している点では同じ役割を持つ言葉だと思います。そのため、子供の勉強に対するやる気を削ぐと言う点においては、「宿題をしなさい。」も「勉強をしなさい。」とほぼ同等の効果を持つでしょう。

保護者が子供に対して「勉強をしなさい。」と言うと、子供から「何を勉強すればいいの?」と逆に問い詰められる可能性があります。勉強が得意ではない保護者の方はこの時点で答えに窮してしまうでしょう。だから、子供に「勉強をしなさい。」とは言えないという場合があるかもしれません。ところが、「宿題をしなさい。」に関しては、子供からそのような切り返しをされることがありません。そのため、「勉強をしなさい。」よりも「宿題をしなさい。」の方が、保護者の口から出てきやすい言葉となっているように思えます。もし、学校から宿題が出ていなければ、少なくとも「宿題をしなさい。」と保護者が発言する機会はありません。以上のことから、場保護者の方にとって宿題があることがデメリットとなってしまう場合もありうると言えるでしょう。

「勉強をしなさい。」のような子供のやる気を削ぐ保護者の行動について、「子供のやる気を高めるために役立つ親の行動」という記事を書いています。また、やる気を高めるための方法について、「やる気スイッチを入れる方法① 〜すごい人の話を聞く〜」という記事も書いています。もしよろしければそちらもご覧ください。

教師にとってのデメリット

教師にとってのデメリット①:宿題の確認に時間を要する

生徒に義務として宿題を課している以上、提出された宿題を確認する必要があります。生徒は教師が宿題を丁寧に確認しているかどうかをよく見ています。教師が提出した宿題を丁寧に見ずに、生徒に返却していることが分かると、宿題に対する取り組み意欲が低下する生徒も多いです。

1クラス40人の学校で4クラスの英語の担当している場合、160人分の宿題を確認する必要があります。例えば、文法の問題集を20ページ分宿題として出したとしましょう。これを、丁寧に確認するとなると1人につき少なくとも10分かかります。10分/人×160人= 1600分=26時間40分かかります。1日2時間使えたとしてもすべての宿題を確認するのに13日以上かかることになります。授業、授業準備、校務そして部活の顧問業務を合算すると1日の労働時間は12時間を超えている状況のなかで、宿題を確認する時間を確保することは大変です

教師にとってのデメリット②:宿題を課したからといって生徒の学力が向上するとは限らない

宿題を課した場合に生じうる生徒の対応は4つのパターンに分類されると思います。

  1. 宿題に主体的に取り組む。宿題のレベルが生徒の学力に合致しており、教師の意図通りに生徒が宿題に取り組む。
  2. 宿題に主体的に取り組まない。能力的には可能であるが、宿題以外に自分が取り組みたい学習があり、宿題のために時間を割きたくないので、答えを写す等のやり方で乗り切る。
  3. 宿題に取り組めない。宿題の難易度が高すぎて、自力で解くことができず、どうしてよいかわからず、答えを写す。
  4. 平常点を失うことを覚悟した上で、宿題を提出しない。

1の場合は宿題が学力の向上に寄与する可能性がありますが、2・3の場合には、いくら教師が生徒に対して宿題の提出を促したところで生徒の学力は向上しません。学力が向上しないにも関わらず、1~3の場合には、教師は宿題の確認をしなければなりません。教師は、上述したように宿題の確認のためにかなりの時間を費やさなければなりません。時間をかけて生徒の学力が向上しないとなれば教師の精神的な疲労は蓄積する一方です。

宿題の出し方に対する提案

宿題にはメリットもデメリットもあります。メリットを享受した上で、デメリットも解消できる宿題への対応を考えてみました。

提案①:定期考査の点数に応じて宿題を実施したものとみなす

定期考査の点数に応じて宿題を実施したものとみなすという方法は、主に宿題を簡単すぎると感じる生徒に対する対応策です。

例えば、1学期の通知表の成績の満点を100点とします。内訳は、定期考査の点数が70点、授業態度が10点、宿題の提出が20点とします。定期考査の点数が、63点/70点 = 90%の得点率だった生徒は、宿題を出していなくても、宿題をやったものみなし、定期考査の得点率に応じて、宿題に対する点数として20点×90%=18点を与えるというものです。定期考査で点数を取れているのですから、宿題をやっていなくても問題はないでしょう。

この方法は、教師が宿題を確認する時間を削減できるというメリットもあります。

提案②:宿題に対する代替案を認める

これは宿題が簡単すぎるという生徒それが難しすぎるという生徒との双方に対する対応策です。

宿題が簡単すぎるという生徒の場合、上述した定期考査の成績を宿題に反映させるという方法をとることもできます。しかしながら、この方法だと定期考査の点数を取れる自信はないけど、指定された宿題以外の勉強をしたいという生徒の希望に対応ができません。自分の弱点を克服するための課題を生徒自身が決め、それを実施することで、指定された宿題をやったものとみなすという方法です。

宿題が難しすぎるという生徒の場合、生徒はその宿題を自力でやることができません。そのため、その時の生徒のレベルにあった問題を指定された宿題の代わりに解いてもらいます。指定された問題よりは難易度の低い問題を解くので、指定された宿題を実施する生徒との公平性を担保するため、実施すべき分量は多めに設定します。学力が学校が求めている水準に達していない生徒に対する対応として、この方法は甘すぎると思われる方もいると思います。しかし、このような方法をとることで、生徒が英語の学習を諦めてしまうことを防ぐことができるかもしれないので、私はこの方法を使っていました。

提案③:宿題の提出期限について教師と交渉をする機会を与える

これは他教科から宿題がたくさんでて英語の宿題を期限内に終わらせられないという生徒への対応策です。

私は「生徒に宿題の提出期限を交渉する機会を与えたい。」思っています。その理由は2つあります。

1つ目の理由は、いい加減に宿題をやるという事態を防ぐことです。複数の教科の教師間で連携が取れていて、宿題の量が学年として調整されている学校もありますが、各教科の教師が自分たちの好きないように宿題を課すのが一般的です。複数の教科からの宿題の合計が生徒の能力を超えている場合、生徒は、怖い教師からの宿題や自分の好きな教科の宿題だけを丁寧にやって、それ以外の教科は適当に済まそうと思いがちです。宿題の提出期限を交渉する機会を与えて、提出期限を後ろ倒しできれば、宿題に真面目に取り組む生徒が増えるかもしれません。

2つ目の理由は、期限の交渉の練習をしておくことが社会人になってから役に立つと思うからです。もちろん、教師が設定した強制的な期限内に宿題を提出するという能力を高めることも重要です。なぜなら、実社会でも絶対に交渉できない期限が存在する場合があるからです。期限を遵守するために、2日間徹夜をしてプレゼンの1時間前に資料が仕上がったなんて経験をした方も少なくないはずです。その一方で、実社会のプロジェクトにおいては期限を交渉できる場合が少なからずあります。そのため、生徒自身に提出期限をその理由とともに説明する機会を与え、その練習をしてもらいたいと考えています。そうすることで、相手が納得する理由を考えたうえで期限の交渉をするという能力を高めてもらえればと思っています。

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まとめ

宿題は生徒の学力を向上させるための1つの手段だと思います。生徒の学力を上げるための宿題の在り方を今後も考えていきたいです。