僕は一般入試で国立大学に入学しました。推薦入試で合格した高校の友達は秋から全然勉強していませんでした。推薦入試という制度はいらないと思うのですが、EduConさんはどう思いますか?
推薦入試という制度そのものは必要な制度だと思います。例えば、筆記試験では測定できない能力があるじゃないですか。具体的には、友達と協力をして何か新しいものを作り出す能力などが挙げられると思います。この能力を筆記試験で測定することは難しいですよね?
それはその通りだと思います。でも、だからと言って、合格が決まったら遊んで良いわけではないと思います。多くの生徒は、大学入学共通テスト、私立大学の入試、国公立大学の二次試験に向けて勉強をしているのに、緩い雰囲気を醸し出されると迷惑なんです。
確かに推薦入試で合格した生徒がはしゃいでいるのは、まだ受験が終わっていない高校生にとっては迷惑ですよね。
では一緒に推薦入試について議論してみませんか。
はい。小論文の授業でまずは言葉の定義をするようにと先生から言われたので、議論を始める前に推薦入試という言葉についてEduConさんと認識を統一させておきたいです。
さすがですね。難関大学と言われるT大学に合格しただけのことはありますね。
みんなが不満を感じているのは指定校制の学校推薦型選抜?
推薦入試というと、一般入試以外の入試のことをまとめて推薦入試と定義する人もいるので、まず今回議論する推薦入試はどんなものなのかについて簡単に整理します。
ご存知の方も多いと思うのですが、2021年度の入試から、これまでの推薦入試は入試名が変更になっています。
ここから先は2021年度以降の入試制度である、「総合型選抜」、「学校推薦型選抜」という名称を使って行きます。
「総合型選抜」についても納得できない点はあるのですが、今回は「学校推薦型選抜」に絞って話をさせてください。
「学校推薦型選抜」も大きく「公募制」と「指定校制」に分かれます。双方の制度に対して不満があるのですか?
「公募制」に対してはあまり不満はないです。例えば、東京工業大学理学院の令和3年度学校推薦型選抜の推薦要件には「数学、物理、化学、地学のいずれかの国際科学オリンピックに日本代表として出場した者」と書かれています。このレベルに到達できる高校生は、一般入試を受けても合格すると思います。だから、学力面でも一般入試で合格している生徒と差はないと思いますし、むしろ優秀かもしれません。
そういえば、EduConさんは、総合型選抜・学校推薦型選抜に使える課外活動についてまとめていませんでしたっけ?
おお、よく見てくれていますね。嬉しいです。これでしょ。
そうです。最近更新していないですよね。
すいません。
話を戻して、「公募制」に不満がないってことは「指定校制」の方に不満があるということですか。
そうです。もちろん「指定校制」で合格した生徒が、日々の定期テストや提出物を頑張っていたことは認めます。
でも、定期テストは範囲が限られています。1週間それなりに勉強をすれば、それなりに点数が取れてしまいます。
一方で、大学入学共通テスト、私立大学の入試、国公立大学の二次試験は、範囲が広いです。定期テストの点数が取れることとこれらの入試問題を解けることは同義ではありません。
指定校制の学校推薦型選抜で合格した友達の中には、英語の資格の勉強を頑張ったり、簿記の勉強をしたり、ウェブサイトを作ったり、意味のある時間の過ごし方をしている人もいます。全員がそのように何かに取り組んでいれば良いです。しかしながら、全く勉強をしなくなる人もいます。勉強をしなくなるだけならまだしも、授業中騒いだり、一生懸命勉強している人を煽ったりしてきます。それが許せないです。
・「指定校制」の「学校推薦型選抜」に不満を感じている。
・早い段階で合格してしまうと、勉強をしなくなったり、授業を集中して受けくなったりする生徒がいるから。
指定校制の学校推薦型選抜のメリットは?
でも指定校制の学校推薦型選抜は入試制度として長い間存在していたのだから、なんらかのメリットはあると考えるのが妥当じゃないですか?
生徒側と大学側との双方にメリットがあると思います。
生徒側のメリットは何ですか?
生徒側のメリットは2つあると思います。
1つは、学校の勉強を頑張ることが大学進学に直結するということだと思います。学校の授業は、学校によってカリキュラムが大きく異なります。学校のカリキュラムに対して真剣に取り組んでも、筆記試験では高得点を取ることができない場合もあるかもしれません。また、先生の当たり外れもあります。全ての先生が大学入試を意識したレベルの高い授業をしてくれるわけではありません。そのような状況下において、指定校制の学校推薦型選抜は、生徒に勉強を頑張るという動機付けをしてくれます。
もう1つは、テスト範囲が狭いと力を発揮できるけれど、範囲が広くなると力を発揮できない生徒にとってはメリットになります。
確かにそうですね。では、大学側のメリットは何ですか?
大学側のメリットも2つあります。
1つは確実に入学してくれる生徒を確保できるという点です。この点については国公立大学と私立大学でそのメリットの意味は若干異なります。国公立大学は、定員割れの心配が今のところほぼないですし、合格後に入学を辞退する生徒も少ないので、確実に入学してくれる生徒を確保する意義は私立大学ほどではないです。しかし、私立大学は、一般入試だと何人の生徒が入学してくれるのかを正確に計算できないので、確実に入学してくれる生徒数を一定程度確保しておく必要があると思います。
2点目は、一般入試で合格する生徒とは、個性が異なる生徒を受け入れることができるという点です。例えば、一般入試であれば、高校1年生と高校2年生の間に大いに遊んでいても、高校3年の時にものすごく頑張れば合格できる可能性があります。しかしながら、指定校制の学校推薦型選抜の場合は、そうはいきません。3年間サボることなくコツコツと努力する必要があります。このような努力ができる生徒を大学側が求めているという側面もあるのではないでしょうか。
様々な側面から考えていますね。そうすると指定校制の学校推薦型選抜にはメリットがあるといえそうですね。
指定校制の学校推薦型選抜をどう変えれば良い?
では、それらのメリットを享受しつつ、あなたが抱えている不満を解消するためにはどんな改革をすれば良いと思いますか?
2つの方法があると思います。
1つ目の方法は、指定校制の学校推薦型選抜で合格している生徒も大学入学共通テストを受験させるという方法です。基準点を設けてその点数をクリアできなかったら合格を取り消します。もちろん基準点は一般入試で求めるレベルよりは若干低くします。受験した全ての科目のうち上位3つの科目が基準点で超えていれば良いという制度にしてもいいです。重要なことは、合格確定後に勉強をサボるということを抑止するということです。こうすることで、生徒側も大学入学後の勉強の理解が深まるというメリットを得られるかもしれません。
もう1つの方法は、合格時に大学側と約束した資格等に合格をしなければ、合格を取り消すというものです。資格としては目安として450時間以上学習が必要な資格がいいと思います。受験生は、10月から12月にかけて学校以外で最低でも1日5時間は勉強するでしょう。5時間✖️3ヶ月=450時間なので、学習量としては受験生に匹敵すると思います。すでに学びたいことが明確になっている生徒に、大学入学共通テストの勉強をさせる必要はないと思うので、大学入学共通テスト以外の選択肢を設けた方がいいと思います。商学部とか経営学部とかに入学が決まっている生徒だったら、簿記2級とかが良いかもしれないですね。
万が一目標の点数が取れなかったり資格が取れなかったりした場合はどうするのですか。
他大学を併願しても良いことにしておくのはどうでしょうか。その際には指定された点数をクリアした場合には絶対に入学することを確約させておくのが良いと思います。勉強を頑張らなければ、指定校推薦を得た大学に不合格になるので、勉強をせざるを得ません。逆に、ものすごく勉強して大学入学共通テストで高得点をとっても、他大学を受験することはできません。指定校推薦で合格を出している大学側は学力を伸ばしてきた生徒に入学してもらえることになるので嬉しいと思います。
指定された点数や資格をクリアできなければ、合格資格を取り消して、もう1年勉強をしてもらうので良いのではないでしょうか。一般入試を受験している生徒は失敗したらもう1年頑張るわけですし。
いいアイディアですね。
・指定校制の学校推薦型選抜で合格した生徒にも、大学入学共通テストを受験させて、一定の点数をクリアできなければ合格を取り消す。
・大学との間で入学までに取得すべき資格を決定し、その資格を取れなければ合格を取り消す。
まとめ
みなさんは上記のアイディアどう思われますか?