【数学】今学んでいる数学の内容は仕事で役に立つのですか?

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高校生から良く聞かれる質問の一つが、

今学んでいる数学の内容は仕事で役に立つのですか?

というものです。

この質問をする生徒によくみられる特徴は以下のようなものです。

  • 数学が苦手である
  • 文系で入試科目として数学を使わないことが決まっている

おそらく数学を勉強したくないから勉強しなくも良い理由を見つけ、自分を正当化したいのではないでしょうか。

私は英語担当教員でしたが、民間企業に勤務する過程で数学の重要性を痛感したので、このような生徒に数学を学ぶ必要性を感じてほしいと常々思っていました。数学の先生が数学を学ぶ楽しさやそれを学ぶ意義を説いてくださっていることは重々承知しているのですが、あえて他教科の先生がその必要性を唱えることで、数学を勉強したいと思う生徒もいるような気がしたので、積極的に数学の必要性を説明するようにしていました。数学の必要性を感じてもらうために、私は次の3つの話をしていました。

1.数学は社会の多くの場面で活かされている

高等学校で学ぶ数学と社会で使われている数学とがつながっていることを、自身の企業での経験を通じて説明しました。株式投資のためにExcelで作成した企業価値分析シートを生徒に例示して数学的な概念が仕事で活用されていることを説明するようにしていました。当然のことながら実際に仕事で使用していたExcelは退職時に破棄しているので、仕事の経験をもとに自分用に作成したExcelを紹介していました。

しかし、数学を使う仕事を経験したことがない場合もあると思います。そんなときに役に立つのが以下の書籍です。

例えば、2次関数と実社会で使われる場面とを以下のような例題を通して説明してくれています。

例題2.1
あなたはラーメンチェーンのオーナーで,A市にあるショッピングセンターに新しくラーメン屋をオープンさせるかどうかを検討している。このショッピングセンターにはほかにラーメン屋はなく,ラーメンへの需要は1日あたりD(p)=500-1/2p(ただし0≤p≤1000)という需要関数で与えられる。また,ラーメン1杯を作る費用は人件費等を含めてちょうど400円であるとする。
(中略)
(2)利潤を最大にするためにはラーメンを1杯いくらで売ればよいだろうか。
(p.33より引用)

この例題を読むとなんだか解いてみたくなりませんか?もちろん、全ての生徒が反応を示すわけではありませんが、一部の生徒は興味をもって解いてくれます。

2.数字による分析は経験による判断を凌駕する

私は民間企業で勤務して、経験が浅いうちは、数値による分析ができると、組織において自身の存在価値を示すことができることを学びました。上司や同僚が論理的な思考をする方であるならば、数値を用いて分析した結果を示せば自身の提案が通る時もあります。

そんな事例を物語風に教えてくれるのが以下の書籍です。

例えば、ワインの競売価格をワイン名人が予測するのが当然だったという状況下で、ある人が統計を駆使してそれを予想し的中させたという話が書かれています。なお、以下の引用のなかでオーリーは数字を分析する仕事をしています。

オーリーが本当に騒動を巻き起こしたのは、数字を分析してボルドーワインの品質を評価しようとしたときだった。ロバート・パーカーのようなカリスマワイン名人の「口に含んでは吐き出す」手法に頼るかわりに、オーリーは統計を使って、ある生産年のどんな特徴が、ワインの競売価格の高低と相関しているかを見たのだった。
(p.18 より引用)

この他にも、数字を使うとさまざまな分析ができることがわかりやすく書かれています。数式が苦手という生徒には、上記で記載した経済学で出る数学よりも読みやすいかもしれません。

3. 論理的な思考を養成する

論理的な思考は数学以外の教科でも鍛えることができます。英語であればEssayを書く過程で、国語であれば小論文を書く過程で、それを鍛えることができるでしょう。しかし、高校生が取り組むEssayや小論文は、大学における卒業論文や修士論文と比較すると字数が少ないため、そこまで緻密に論理を積み上げなくてもよい場合が多いです。

一方、数学の記述の問題は、高校生が取り組むレベルの問題であっても、1行1行のつながりに緻密な論理性が求められるように思えます。難関大学の数学の入試問題の解答を見てみると丁寧に証明されているのがわかるかと思います。このような問題に取り組む過程で、1行1行の論理的なつながりを深く考えるようになるのではないでしょうか。そして、その思考過程を数学以外の分野にも応用していくことで、物事をより論理的に説明できるようになるのではないでしょうか。

この物事を論理的に説明するという力は、自分と異なる考え方を持つ人と議論するときに非常に役立ちます。基本的に、自分以外の人間は自分とは異なる考え方を持っています。それは、日本人であっても、外国人であっても同じです。自分は外国人と一緒に仕事をする機会はないから、論理的な説明する力なんていらないのですという生徒がいるかもしれません。そんな生徒に「だって、今まで出会ってきた全ての日本人があなたと同一の考えをもっていて、いつでももろ手を挙げてあなたの考えに賛成してくれたわけではないでしょ。」というと「その通りです。」と言ってくれます。このように日本人と仕事をするときでもその力は必要となるのです。

よって、数学の問題を解く過程で培われた論理的な思考能力は、さまざな場面で威力を発揮する可能性が高いと考えられます。