芝・本郷・世田谷学園・攻玉社の大学合格実績を比較してみました

こんにちは、EduCon（@Edu_Con_2019）です。今回は都内の私立男子中学について書きます。具体的には、中学受験における難易度が同程度の男子校である、芝中学校、本郷中学校、世田谷学園中学校、攻玉社中学校、という4つの選択肢のうち、難関大合格に有利なのはどの選択なのかについて、それぞれの進学先の高校である芝高等学校、本郷高等学校、世田谷学園高等学校、攻玉社高等学校の2020年度の大学合格実績を基に分析していきます。

攻玉社高校のみの進学実績の推移については、「攻玉社の進学実績の経年変化（2018年度−2020年度）」にまとめております。

巣鴨高校、城北高校、桐朋高校、本郷高校の大学合格実績の比較にご興味がある場合は、「巣鴨、城北、桐朋、本郷の大学合格実績を比較してみました」という記事をご覧ください。また、新御三家と筑駒の4校の大学合格実績の比較に関しては、「新御三家（巣鴨・海城・駒東）と筑駒の4校の進学実績を比較してみた！」をご覧ください。それ以外の高校の進学実績に関しては「地域別に有名進学校の進学実績をまとめました」に目次を作成しておりますのでそちらをご参照ください。

目次から必要な情報を選択して読んいただけると嬉しいです。

調査方法
中学入試における偏差値と難関大学現役合格率とを比較
大学別の現役合格実績の特徴
保護者の方に役立つ情報
最後に

調査方法

芝中学校・芝高等学校進学実績、本郷中学校・高等学校2020年大学合格実績、世田谷学園高校2020合格実績、攻玉社中学校・高等学校進学実績、インターエデュ2020年攻玉社高等学校東大・京大・難関大学合格者数、に記載されている数値を引用しました。

中学入試における偏差値と難関大学現役合格率とを比較

EduCon

4つの中学の中学入試時点における難易度と難関大学現役合格率とを表1にまとめました。それぞれの項目で1位の学校の数値を青字にしています。

表1　中学入試における偏差値と難関大学現役合格率

		芝	本郷	世田谷学園	攻玉社
中学入試時点の偏差値	首都圏模試	70	69	67	66
	日能研	59	58	51	52
	四谷大塚	59	59	57	56
	平均	62.7	62.0	58.7	58.0
現役合格率	東京一工^※	8.2%	4.5%	11.1%	9.0%
	東京一工＋旧帝大＋国公立医学部医学科	13.9%	7.1%	16.9%	12.8%
	早慶上智理科大	80.8%	97.7%	122.2%	92.3%
	私立大学医学部医学科	7.5%	1.3%	8.2%	8.1%

※東京一工：東京大学・京都大学・一橋大学・東京工業大学

表1から読み取れるそれぞれの学校の特徴は以下のようになります。

芝は国公立の難関大学の現役合格率が高くなっています。
本郷は早慶上智理科大の現役合格率が高くなっています。
世田谷学園は中学入試時点での偏差値は3位ですが、国公立私立を問わず難関大学の現役合格率では1位になっています。
攻玉社は中学入試時点での偏差値は4位ですが、東京一工に限った現役合格率では2位になっています。

芝、本郷、世田谷学園、攻玉社の４校の中では、世田谷学園への進学が難関大学への現役合格確率を高めると言えそうです。しかし、その世田谷学園であったとしても「東京一工＋旧帝大＋国公立医学部医学科」への現役合格率は16.9%であり、83.1%の生徒は現役でそこに合格できなかったことになります。もちろん最初からそれらの大学を目指していないという生徒がいる点を考慮する必要はありますが、学力で上位20%にいないとそれらの学校への合格は難しいというイメージだと思います。

また、早慶上智理科大の現役合格率は、4校全ての学校が80.8％以上となっていますが、これは1学年の生徒の80%が、早慶上智理科大に現役で合格できることを意味している訳ではありません。合格者数が延べ人数であり、1人の生徒がそれらの大学の複数学部に合格することで、合格率が引き上げられている可能性があるからです。

大学別の現役合格実績の特徴

東大・京大・一橋大・東工大

表2　東大・京大・一橋大・東工大の現役合格者数及び現役合格率の比較

	芝	本郷	世田谷学園	攻玉社
東京大学	11	6	8	11
京都大学	3	0	0	0
一橋大学	2	4	6	4
東京工業大学	7	4	9	6
合格者総数	23	14	23	21
卒業生総数	281	308	207	234
東京一工現役合格率	8.2%	4.5%	11.1%	9.0%

表2より東京一工の現役合格率では、世田谷学園が1位となっていることがわかります。

次に、中学入試時点の偏差値と東京一工の現役合格率を図1に示します。

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図1　中学入試時点の偏差値と東京一工の現役合格率

図1より、中学入試時点では偏差値が低かった世田谷学園と攻玉社が、東京一工の現役合格率においては最も高い現役合格率となっていることが分かります。

東京一工＋旧帝大（5校）＋国公立医学部医学科

表3　東京一工＋旧帝大（5校）＋国公立医学部医学科への現役合格者数及び現役合格率の比較

	芝	本郷	世田谷学園	攻玉社
東京大学	11	6	8	11
京都大学	3	0	0	0
一橋大学	2	4	6	4
東京工業大学	7	4	9	6
北海道大学	7	4	3	0
東北大学	2	2	2	1
名古屋大学	1	0	2	0
大阪大学	2	1	2	3
九州大学	1	0	0	0
国公立大学医学部医学科（上記の大学のそれは除く）	3	1	3	5
合格者総数	39	22	35	30
卒業生総数	281	308	207	234
東京一工＋旧帝大＋国公立医学部医学科現役合格率	13.9%	7.1%	16.9%	12.8%

表3より東京一工、旧帝大、国公立医学部医学科の現役合格率でも、世田谷学園が1位となっていることがわかります。東京一工のみの場合は、攻玉社が2位で、芝が3位でしたが、旧帝大と国公立医学部医学科を追加すると、芝が2位で、攻玉社が3位と順位が入れ替わります。

次に、中学入試時点の偏差値と「東京一工、旧帝大、国公立医学部医学科」現役合格率を図2に示します。

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図2　中学入試時点の偏差値と「東京一工、旧帝大、国公立医学部医学科」現役合格率

図2より、中学入試時点では偏差値が低かった世田谷学園が、「東京一工、旧帝大、国公立医学部医学科」の現役合格率においては最も高い現役合格率となっていることが分かります。

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早慶上智理科大

表4　早慶上智理科大への現役合格者数及び現役合格率の比較

	芝	本郷	世田谷学園	攻玉社
早稲田大学	89	110	73	66
慶應義塾大学	50	56	64	67
上智大学	20	17	41	29
東京理科大学	68	118	75	54
合格者総数	227	301	253	216
卒業生総数	281	308	207	234
早慶上智理科大現役合格率	80.8%	97.7%	122.2%	92.3%

表4より早慶上智理科大の現役合格率でも世田谷学園が1位であることがわかります。東京一工、旧帝大、国公立医学部医学科の現役合格率では2位だった芝が、早慶上智理科大のそれでは4位になっています。このことから、芝は難関私立大学の受験を生徒に進めていない、もしくは、国公立大学の受験対策を優先している可能性があります。

次に、中学入試時点の偏差値と早慶上智理科大の現役合格率を図3に示します。

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図3　中学入試時点の偏差値と早慶上智理科大の現役合格率

図3より、中学入試時点では偏差値が低かった世田谷学園が、早慶上智理科大の現役合格率においては最も高い現役合格率となっていることが分かります。

私立大学医学部医学科

表5　私立大学医学部医学科への現役合格者数及び現役合格率の比較

	芝	本郷	世田谷学園	攻玉社
私立大学医学部医学科合格者総数	21	4	17	19
卒業生総数	281	308	207	234
私立大学医学部医学科現役合格率	7.5%	1.3%	8.2%	8.1%

表5より、私立大大学医学部医学科の現役合格率では、芝、世田谷学園、攻玉社の3校がほぼ同率で並んでいるのが分かります。

次に、中学入試時点の偏差値と私立大学医学部医学科の現役合格率を図4に示します。

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図4　中学入試時点の偏差値と私立大学医学部医学科の現役合格率

図3より、私立大学医学部医学科の現役合格率においては、中学入試時点では偏差値が低かった世田谷学園と攻玉社が、その時点最も偏差値が高かった芝とほぼ同等となっていることが分かります。

保護者の方に役立つ情報

最後に

学校の価値は進学実績だけで測定できるものではありません。どんなに進学実績が良い学校であっても、その学校の生徒が学校生活を楽しんでいなければ本末転倒です。何より大切なことは卒業した生徒本人がその学校に通ってよかったと思っているかどうかです。その生徒の満足度を決定する要素は実に多様であり、生徒によっては進学先がその満足度に強い影響を及ぼすかもしれませんが、私の経験上そのような生徒は少数派だと思います。また、学校での学習だけが進学実績に影響を及ぼしている訳ではなく、塾や通信添削がそれに影響を与えていることも重々承知しています。だから、学校選択においては、お子様がその学校に進学すると仮定した場合に、日々楽しそうに学校に通う姿を想像できるかという観点が非常に重要だと思っています。

しかし、進学校と言われる中高一貫校を選択される児童・生徒及び保護者の方が、各学校の進学実績を学校選択の一つ重要な指標とみなしていることはほぼ間違いないと思います。そのため、今回の記事を進路選択の際の1つの参考資料として扱っていただければ幸いです。

個人で調査をしておりますので、数値に誤りがある可能性があります。誤りがありましたらご指摘いただければ修正いたします。