4月1日から晴れて大学生となられた方も多いかと思います。今回は、私が大学1年生のときには知らなかったけれど、もし今私が大学1年生の時の自分に何かを伝えることができるなら伝えておきたい5つのことを書きたいと思います。「大学生のうちにやるべきことを5つ紹介します。」と捉えていただいても良いのですが、そういう表現をすると強制の意味合いが強くなってしまうので、「伝えておきたいこと」とさせてください。
もちろん、全ての大学生にこの5つのことが当てはまると思っているわけでもないですし、この5つの実行を大学1年生の方に押し付けたいわけでもありません。特に、医学部・歯学部に進学された方にはあまり関係のない話が多いかもしれません。しかしながら、大学4年生のときに、「これらのことを知っていたら大学の4年間の過ごし方を変えたのに。」という思いを抱いてもらいたくないので、情報の提供をしておきたいと思って書きました。
この記事を読んでいただくと、
大学の4年間がいかに人生にとって重要な時間なのか、そして、大学4年間で何をすればよいのか。
が分かると思います。
伝えたい5つのこと
人生において自分のやりたいことだけに打ち込める時間は実は短い
私自身は、年をとっているからと言って若い世代に伝えられることがたくさんあるわけではないとは思っています。その一方で、年をとらなければ認識できないこともあるようにも思います。
自身が大学に入学してから20年以上の時を経た今感じることは、自由に何かに打ち込める時間は人生においてそう長くはないということです。
大学生及び大学院生の時、そして、社会人になってからの数年間は、本当に好きなことにだけに自分の全精力を費やせると思います。20代中盤になると結婚をする人も増えるでしょう。そうなると、自分のやりたいことと配偶者のやりたいこととを調整し、場合によってはどちらかが妥協をすることになります。30代になると子供ができる人もいるでしょう。30~50代半ばぐらいまでは、子育てに多くの時間を割くことになります。50代半ばをすぎ、子育てが一段落すると、今度は親が年老いてきて親の介護に時間を割くようになります。70代になると、人によっては自身の体が思うように動かなくなってくるかもしれません。
だれもがこのとおりに人生を歩むわけではありません。しかし、確率論だけでいえばそうなる確率の方が高いです。だから、大学生の4年間そして大学を卒業してからの数年間の時間は本当に貴重な時間だということを認識する必要があると思います。
目標から逆算をして大学生活を送る
大学1年生になった時点で既に将来やりたいことが決まっている人は少ないかもしれません。しかし、あえて将来のやりたい方向性で大学1年生を分けるならば、大学院への進学を想定している人と学部卒業後に就職をすることを考えている人の2つのパターンに大別されるかと思います。
大学院への進学を想定している場合
希望している大学院に合格するためには、何を努力すべきなのかを大学院の募集要項で確認をしておくと良いと思います。例えば、令和 2(2020)年度 東京大学大学院工学系研究科都市持続再生学コース( 都市工学専攻 )修士課程学生募集要項には、以下のように書かれています。
入学者の選抜は、筆記試験(英語、専門科目、小論文)と口述試験から総合的に判定すること
により行う。
もし、海外の大学院を目指す場合には、一定以上のGPA(大学の成績)が必要になります。GPAが低くても志望する大学に合格できることもあるそうですが、高い方が良いことは間違いないでしょう。海外の大学院を志望する際のGPAに関する情報に関しては以下のウェブサイトが参考になります。
そんな先のことを考えずに、学部時代は、もっと自由にやりたいことをやりたいという考えを持っている方もいるでしょう。私はその考えにも賛成です。様々な内容を学習する過程で、本当に学びたいと思える分野を見つけられるときもあります。学びたい分野が見つかったときには、もしかしたら上記の内容が役に立つかもしれません。
学部卒業後に就職をすることを考えている場合
2020年卒業の大学生(学部3年生・大学院1年生)の就職活動スケジュールは、大学3年生の3月に説明会の実施を解禁し、大学4年生の6月に採用面接など選考の開始を解禁することとなっています。説明会に参加するために、エントリシートのようなものを書かなければならない可能性もあります。また、大学3年次にインターンシップに参加しようと思えば、大学2年の終わりまでにインターンシップへの応募書類で自分のことをアピールできるようにしておかなければなりません。言い換えれば、大学2年の終了までに、就職活動時にアピールできるだけの実績を作っておかなけばなりません。あと2年しか準備期間がないのです。
2年間の間に何をすればよいか分からないという人がいると思います。その答えは明確です。先人に学ぶということです。以下のような就職活動対策本を1冊読んでみてください。どうしても本を所有しないと気が済まないという方以外は、大学の図書館もしくは就職支援センターに足を運んで、そこにある就職活動本を一読するだけで十分です。3時間あれば読み切れると思います。
- 企業は学生に何を聞いてくるのか。
- 学生はそれにどう答えるべきなのか。換言すれば、どのような活動についてどのように記載すれば、採用に値するとみなされるのか。
就職活動本に書かれていることと全く同じ経験をする必要性はありません。以下の3点において、就職活動本に書かれている内容と同等であれば良いと思います。
- 大学在学中の活動において自分はどのような工夫をしたのか。
- その工夫の結果として、どのような成果が生みだされたのか。
- その工夫と成果は、入社・入職する企業での職務にどのように寄与するのか。
考えるべき項目は上記の3点であることは明らかになりました。次は、それを踏まえて2年間で何をするかについてお伝えします。結論から言うと何でも良いのです。好きなことに取り組んでください。大学の授業の課題であるプロジェクトに取り組んでも良いですし、大学院生がやるような研究に取り組んで論文を書いても良いですし、インターンシップに参加して成果を出すのでもよいですし、自分が将来やりたいことに関係するアルバイトをするのでもよいですし、起業して一定規模の会社を経営してみるのでも良いと思います。ただ、最後の例の場合はもはや就職活動をする必要がなくなるかもしれませんが。
何でも良いとは言ったのですが、成果を定量的に示せる活動の方が企業に対する自己PRがしやすいという側面はあると思います。定量的な成果というのは例えば次のような成果です。A君がウェブデザインのインターンに参加するとしましょう。A君がウェブサイトの内容を変えることによって、1日のページビューが1,000から10,000に増えました。この1,000から10,000への増加というのは定量的な変化だといえるでしょう。そして、この定量的な変化はA君のウェブサイトを構築力が高いことを示す1つのわかりやすい根拠になっていることが分かるかと思います。
インターンシップではなくアルバイトでも良いと思います。「就活に役立つアルバイトの選び方」及び「アルバイトをするにあたり知っておきたい税金・社会保険の知識」について以下の記事にまとめましたので、興味がある方はぜひ読んでみてください!
先人から学ぶということに関して言うと、インターネットを適切に活用すれば多くの情報を得ることができます。例えば、国際機関で働きたいと思っている人にとっては、以下のような記事が参考になると思います。
このような記事の検索方法は、簡単で「なりたい職種もしくは入りたい組織 採用基準」とGoogleで検索をすれば見つかると思います。上記の記事は、「世界銀行 採用基準」とGoogleで検索をすると、3番目に出てきます。この検索方法で、注意をしてもらいたいことが2点あります。それは、
- 検索結果順位の1位の記事がみなさんにとって最も有益とは限らないということ。
- 検索結果上位の記事が信頼できるものとは限らないので、1~10位までに表示される記事を全て読んでみて、自分なりに内容を分析するということ。
です。何か興味をもっている職業があればぜひ検索してみてください!
プロフェッショナルから学ぶ
大学生は、様々なプロフェッショナルから多くのことを学ぶことができる貴重な期間です。なぜなら、社会人になってしまうと、お互いが利害関係者になる場合があるため、大事な情報を教えてくれなくなる可能性があるためです。
まずは、入学した大学の環境を大いに活用してください。自分にとって面白い講義をする先生がいれば、その先生のところに行き、疑問点を質問してください。大学の先生と親しくなると、その先生のところで学んだ先輩を紹介してくれたり、学会に連れていってくれたり、場合によっては本を出版するときに手伝わせてくれたりします。
そして、入学した大学のOB・OGから多くのことを学んでください。多くの大学では、就職支援課がOB・OGを在学生に紹介する機能を持っています。自分が興味をもっている職種の先輩を紹介してもらい、その職種のやりがいや大変さそしてその職種に就くために在学中に何をすべきなのか等を教えてもらってください。
語学を高いレベルで習得する。可能であれば交換留学をする。
私は大学生の時に大学の授業以外で英語を全く勉強しませんでした。理系は英語を頑張らなくてよいと思いこんでいました。そのように思い込んでいた理由は定かではありません。そのため、社会人になってから本当に苦労しましたし、今でも苦労しています。
専門的な仕事については、社会人になってからでしか学べないことがたくさんあります。しかし、ビジネスで要求される英語力については、大学生の間でも十分鍛えることができます。大学2年が終わるまでに最低でもTOEIC900点を目指しましょう。TOEIC900点をすでに取得している方はわかるかと思いますが、この点数はビジネスにおける必要最低限の会話が成り立つレベルです。決して、流暢に抽象的かつ専門的な内容を議論できるわけではありません。なので、このレベルに到達した後も気を抜かずに大学卒業まで英語力を高め続けてください。
上述した基準以上に英語力を高めたいという方には大学が提供している交換留学を強くお勧めします。交換留学を考えるならば、TOEFL100点以上、IELTSで7.0以上を目指すと良いと思います。交換留学をした先の大学において、英語で実施されている専門的な内容の授業についていくことができれば、日本の大学を卒業した大学生としては申し分のない英語力をもっているといってよいと思います。
留学する大学については、行きたい国や行きたい大学が決まっているならば、その国もしくはその大学に留学するのが一番良いと思います。もし、特定の国や大学が決まっていないならば、自分が興味のある学問で有名な大学を選ぶとよいと思います。
何を学びたいかが不明瞭な場合は、世界的に評価の高い大学にいってみるという発想で良いと思います。大学の評価は、世界大学ランキングを参考にしてください。私は絶対的に正しい評価と言うのは存在しないと思っています。例えば、日本の大学受験においては、偏差値が最重要な指標と大多数の人が認めるでしょうが、それを認めない人も一定数存在します。ただ、大多数の人が認める指標のほうが今後のキャリアに活かしやすいのもの間違いないです。みんなが知っているというのは実は結構意味があることなのです。
世界ランキングで有名なのものは以下の3つです。
ARWU World University Rankings
日本の大学は、世界的に有名な大学と交換留学協定を結んでいます。興味がある方は、以下のサイトをご覧ください。
経済的余裕や時間的余裕がなく、交換留学に参加することが難しい場合は、海外の大学の授業をオンラインで受講できるシステムを利用しても良いかもしれません。そのようなシステムの一例を以下に示します。
英語についてのみ言及をしましたが、働きたいと思う国が決まっているのならば、その国の言語をぜひ勉強してください!
失敗しても良いから挑戦をする
5点目は、失敗をしてもよいから挑戦して欲しいということです。逆説的ですが、失敗した経験の方が、成功した経験よりも、役に立つ場合もあります。私自身は、挑戦をしない大学生活だったので、この5点目が最も後悔しているポイントです。
今回は、起業を例にとって、「失敗しても良いから挑戦をする」ことについて伝えたいと思います。以下の動画は、16歳の起業家である山内奏人さんの動画です。この動画の中で、山内さんは、同世代の中で一番失敗をしたと言っています。しかし、現時点ではやりたいことに取り組めているという点では成功をしているとみなしてよいのではないでしょうか。これは私の推測ですが、小学生というかなり早い段階から挑戦と失敗を重ねているからこそ今の彼があるのではないかと思うのです。
大学生という期間は、大学生という身分が保証された状態で、学業以外のことにも挑戦できる時間があるという極めて恵まれた期間です。そして、失敗をしても、刑法上の犯罪を犯したとかでなければ、大学を除籍になることはありません。もちろん、大学を卒業してすぐにビジネスを立ち上げることもできるでしょうし、企業や官公庁で一定期間働いてからビジネスを立ち上げることもできるでしょう。しかし、その場合、在学中に起業するよりは年を重ねてからビジネスをスタートさせることになるため、失敗できる回数は少なくなります。一度失敗をしていれば二度目はそれを回避できる確率が上がるはずです。なので、起業はもちろんんのこと、他のことであっても、とにかく挑戦をして欲しいと思います。
最後に
今年大学1年生になられた皆さんが、充実した大学生活を送られることを心より願っています。