民間企業で勤務してから教員になるメリットとデメリット

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この記事は、以下の方に読んでいただきたくて書いた記事です。

・教員にも興味はあるけど、学校以外の職場でも一度は働いてみたいと感じている大学生

・学校以外の職場で現在社会人として働いているけれど、将来的には学校の先生になりたい方

ちなみに私が働いていた業界は「激務で有名なコンサル業界で実体験した嘘のような本当の話」な感じの業界です。

タイトルは民間企業となってますが、学校の教員以外の仕事から学校の教員になるということを想定しています。まず、民間企業だけでなく行政職の公務員、医師、看護師などの職業も含めて、そのような職業を経験してから学校の教員になる場合のメリットとデメリットについて述べます。次に、そのような場合の心構えについて書きます。

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メリット

全般

学校という場では身につけにくいスキルを身につけてから学校の教員になれるということです。私自身は民間企業に勤務していた際に、プレゼンテーションのために、パワーポイントで、それこそ10,000枚以上のスライドを作りました。作成の過程で、先輩方から効果的な見せ方や論理的な伝え方など様々なことを教えていただきました。このスキルは授業で用いるパワーポイントを作成する際に役に立ちました。

学校で教える教科に関連した実経験を積むことができます。仕事で英語を使った経験があれば、英語の授業をする際にその経験を生徒に伝えることができます。また、実務で英語を使った経験があれば、それが英語を教える際の自信にもなります。

教員を経てから民間企業に入社する場合と新卒で民間企業に入社する場合とを比較した場合、後者の方が希望する企業に就職できる確率が圧倒的に高いです。就職希望企業ランキングの上位の企業で一度は働いてみたいという思いがあるのなら、新卒ではまず企業に行くことをおすすめします。なお、転職全般及び教員から民間企業への転職については、「【教員を辞めたい先生方へ】転職の始め方と転職検討時の注意点」に詳述しています。

生徒との関係におけるメリット

どのような仕事をしていたか、どのような学校に就職するかが、メリットになるかどうかを左右します。例えば、大手上場企業で将来働きたいと思っているような生徒が多い中学校や高校に勤務する場合、そのような大手上場企業で働いていたというという経験は、生徒に一目置かれる要素の一つになるでしょう。もし、官僚になりたいと思っている生徒が多くいる学校で、財務省出身の公民科の先生がいたら、生徒のその先生を見る目は変わると思いませんか?野球部に所属している生徒にとって、イチローさんがコーチとしてやってきたら、話を聞く姿勢が変わるのと同じ感覚だと思います。ただ、授業が分かりやすいとか人間として魅力的であるとかといった、教員としての最低限の条件を満たしていないと、民間企業で働いていた経験があったとしても、そのメリットを享受することはできないと思います。

生徒の中には、「今勉強していることは社会に出て役に立つのですか?」という考えを持っている生徒がいます。そのような生徒に対して、自信を持って「はい。」もしくは「いいえ。」と言えます。なぜなら、ものすごく狭い範囲しか知らないにせよ学校以外の世界を知っているということによって、先生の発言が説得力を持つからです。

保護者との関係におけるメリット

民間企業と比較した場合の学校の特徴は「利益を追求しなくて良い」ことだと思います。これは官公庁に勤務している場合にも当てはまる特徴なので、学校だけの特徴ではないのですが、民間企業との間での比較に限ればこの点が最も特徴的であると言えます。この点がメリットと関連しています。それは保護者の方が「先生はお金を稼ぐ苦労が分かっていますよね。」という認識をしてくれることです。人間は共通点が多ければ多いほどその人に共感する傾向があると思います。そのため、このお金を稼ぐ苦労を知っていることで共感してもらえるという点はメリットになると思います。

入社するのが難しい企業で勤務していた場合もメリットがあります。それは、就職活動を経験してきた保護者の方に、「その企業に入社することができたのだから先生は優秀な方ですよね。」と思ってもらえる場合があるからです。私は企業に入社する能力と教員として生徒を指導する能力にそこまで相関はないと思っています。しかしながら、高倍率の採用試験を突破したという点がプラスに働く可能性は否定できないでしょう。教員の採用倍率は、都道府県と教科によってばらつきがありますが、平均すれば4.9倍です(参議院常任委員会調査室・特別調査室 教員採用選考試験における競争率の低下 ― 処遇改善による人材確保の必要性 ―)。一方で、教員採用試験と比べ日程の制約があまりなく多数の企業に応募できるという側面はあるにせよ、人気企業の採用倍率は100倍を超えます。例えば、講談社は129倍の競争倍率です(講談社2020年度定期採用選考の流れ)。

教員との関係におけるメリット

民間企業で培ったスキルを評価され他の教員から頼りにされるという点がメリットとして挙げられますが、そのメリットを享受できる可能性は低いと思います。私はあまりメリットを感じなかったです。

デメリット

全般

同年齢の教員と比較して、教員としての経験値が少ないというデメリットがあります。これは非常に大きなデメリットだと思います。教科指導一つとっても、5年間教科指導をし続けていれば、失敗と成功を繰り返して、確実に授業実施に関する力量は高まるはずです。この5年分の差を埋めるのはかなり大変で、場合によっては埋まらないまま定年を迎えることもあると思います。AさんとBさんがいて、2人の能力と意欲が同一であるならば、その専門分野において経験を積めば積むほど能力が高まるはずですから、開始時点が遅ければ相手に永遠に追いつけないのは至極当たり前の話とも言えます。

生徒との関係におけるデメリット

子供の集団を制御する方法を知らないということがデメリットとして挙げられます。どのような民間企業に勤務するのかにもよるのですが、民間企業では大人を相手として仕事をする機会の方が多いと思います。例えば、コンサルティング会社に勤務をする場合、同僚は大人ですし、お客さんはビジネスの経験を積んだその道のプロフェッショナルです。当然、会議中に、不必要におしゃべりをしたり、誰かが席を立って会議室を走り回ったりという事態は起きません。だから、集団を制御する必要はありません。子供以上にひどい大人もたくさんいますという意見も聞こてえてきそうですが、ここでは大人は良識のある大人であると定義させてください。一方、学校では相手が子供ですからそのような場面に頻繁に遭遇します。経験したことのない事象が発生する訳ですから、最初は対処に戸惑います。特に、注意の仕方が難しいと思われます。会社では、大声で怒鳴りつければパワーハラスメントで部下から訴えられる場合がありますので、通常であれば怒鳴ることを回避します。ところが、学校では静かに怒るだけでは集団を制御できなくなる場面に出くわすことがあります。この場面はかなり経験がものをいう場面だと私は考えていて、民間企業に勤務してから教員になるとこの経験値が少ない分、注意の仕方で苦労をするように思えます。ちなみに、私は授業中に騒ぐ生徒を静かにさせることはかなり難しいと考えています。その点については、「授業中に騒ぐ生徒を静かにさせられない教員は能力の低い教員なのか?」に考えを書いています。

保護者との関係におけるデメリット

同年齢の先生と比較して教員としての経験が浅いことを指摘される場合があるのがデメリットです。授業や学級経営の上手さはある程度経験年数に比例します。そう考えると、保護者が、民間企業を経て教員になった人の授業や学級経営を、新卒からずっと教員をやってきた教員と比較して、不安に思うのは仕方がないことです。このデメリットは、努力して克服していくしかないと思います。わかりやすい授業ができるようになりかつ学級経営もそれなりにできるようになれば、このデメリットは消滅し、前述したメリットを享受できるようになります。

教員との関係におけるデメリット

勤務する学校次第と言えるでしょう。民間企業出身であるというだけで冷たい態度を取られる場合もあります。教育一筋ではない人を受け入れたくない教員がいらっしゃる場合もあります。これは私の完全な推測ですが、全ての教員がそういう教員ではないものの、どちらかといえば歓迎ムードではない場合が多いように思えます。ただ、他の教員から教えていただくという謙虚な姿勢で一生懸命仕事をしていると、だんだんと教員として認められるようになり、困った時に助けてくれるようになる気がします。

心構え

信念を持つ

民間企業を辞めて教員になる理由を徹底的に詰めておくと良いと思います。教員の仕事は本当に大変です。人によっては給料が激減することもあるでしょうし、労働時間が異常に長くなることもあります。そういうマイナスの出来事が起きたとしてもなお教員をやりたいんだという強い思いを文章にしておくと、辛い時にその文章が心の支えになります。

自分の経験を絶対視しない

民間企業の経験が教員での仕事に全て活用できるとは思わないでください。民間企業の経験が活きるのは、教員の業務のごく一部です。学校外での経験は自分の方が豊富だから、学校の教員に色々教えてあげようなどという驕り高ぶった考えを持たないようにしてください。むしろ、先生方から教えていただくという謙虚な姿勢で仕事に臨むべきだと思います。学校の先生は子供たちに良い教育をしてあげたいと思っています。その点においては、民間企業から学校に転職される方も同じ思いを抱いているはずです。お互いが今までにやってきた仕事を尊重し、そして、協力してより良い教育を作り上げていくという姿勢が何よりも大切だと思います。

教員として1人前に仕事ができるようになって初めて民間企業の経験を活かせる

1人前を定義するのは難しいところですが、私の印象だと、授業ができて、学級経営ができて、学校によっては部活の顧問としての役割が果たすことができれば、生徒、保護者、先生方からある程度は認めてもらえるような気がします。その状態に到達するまでは、今までの経験を活用する努力をしながらも、まずは教員としての業務を的確にできるようになることに注力するのが良いと思います。周囲から認められると、自分自身の提案が通るようになってきます。そういう状況になったら、ぜひみなさんが温めていたアイディアを教育の現場で実行してみてください!